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この記事はシーズン1〜2の重大なネタバレを含んでいます。
まだシーズン1を観ていない方は シーズン1〜2の記事 をご覧になってください。
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あらすじ
待望のシーズン3。今回の敵は日本の海賊と中国だ。
抗ウイルス薬を届けるためにベトナムに上陸していたイージス艦ネイサン・ジェームズの新艦長・スラッタリーとクルー達が正体不明の敵に襲撃されて拉致される。
一方、元艦長のトム・チャンドラー大佐も同時刻、アメリカ代表として中国の新指導者・ポンと交渉するために訪れていた香港で中国国家安全部から攻撃されて追われる身となる。
チャンドラーがネイサン・ジェームズに合流し、拉致された仲間を見つけ出し救出するまでが中盤までの展開となる。
クルーを拉致した海賊のリーダー、タケハヤを演じているのは真田広之。主役に負けない存在感ある演技を見せている。
はたして彼がクルーを拉致した目的は? 裏で中国と繋がっているのだろうか?
その中国は駆逐艦4隻でネイサン・ジェームズを追跡する。ポンの狙いは?
ネイサン・ジェームズ一行が奮闘している間、本国アメリカでも政局は混迷を極めていくのであった。
紆余曲折を経て、中国との決戦場所は日本。東京湾でネイサン・ジェームズvs中華イージス艦(複数)の戦闘が始まる。
レビュー
またしても、「アメリカ軍以外は全方位が敵」という世界観が展開される。
序盤の敵となるのは真田広之が率いる海賊団。これがまた、アメリカから見た第二次世界大戦当時の日本兵のステレオタイプそのままなのだ。
「地下道に潜んで急襲する」
「捕虜を虐待」
いやいやアメリカさん、21世紀なんだから未来に前進しましょうよ、そう思いながら見ていると、戦後の日米関係をなぞるような展開になってくれたので、そこだけは救いだろうか。
そんな日本人の扱いも、中国人の扱いに比べたら多少はマシかもしれない。中国政府は狡猾で残虐、信用ならない敵として登場する。
他にもアジアの描き方については突っ込みどころが多いが、そこは怒らずに笑いながら楽しむべきだろう。
後半の展開は既視感がプンプン。シーズン2の焼き直しという印象が強い。
大統領を敵だらけのアメリカ国内から救出しネイサン・ジェームズに乗艦させる・・・シーズン2でお馴染みのこの展開はさすがにもうお腹いっぱいだ。
ネイサン・ジェームズ側パートと平行して進行するアメリカ側パートでは社会問題・時事ネタを要所要所に散りばめてはいるものの、掘り下げが足りないので生かし切れていない。
具体的には「アメリカの分断」「壁の建設」「格差と貧困」「フェイクニュース」「アメリカがアジアに関わる事の是非」などなど。
そういえば、アメリカの分断と団結というテーマはアメリカ人にとって身近で重要な問題なのか、「高い城の男」などでも中心テーマとして扱われていた。
しかし、本作の主人公がそれについて大統領に語る解決策はあまりに軍人目線すぎて、全然、現実世界に繋がる解決策になっていない気がするのは私だけだろうか。
物語から退場したレイチェル・スコット博士の代わりというわけではないだろうが、女性情報部員のサーシャ・クーパーが仲間に加わる。
日本語・中国語・ベトナム語に堪能で戦闘も強く、セキュリティシステムのハッキングもお手の物という設定は非現実的すぎてスーパーウーマンのようた。
イージス艦に乗ったジャック・バウアー
以上、厳しめの事を書いたが、既視感を抜きにすればアクションドラマとしてはとても良く出来ている。
例えるなら、海洋が舞台の「24‐TWENTY FOUR-」。イージス艦に乗ったジャック・バウアー。
ジャック・バウアーの座右の銘が「俺が法律だ」だとするなら、トム・チャンドラーのそれは「俺がアメリカだ」。
戦闘相手は機雷にドローン、中華製イージス艦と今回も盛りだくさん。
ただ、重要キャラが次々と死んでいくのはちょっと悲しい。
しかも、見せ場を作って華々しく死ぬのならまだ格好いいのだけど、そういうわけでも無いので余計に。
既にシーズン4の公開が決まっているようだが、このまま24と同じ路線に進みマンネリ化してしまうのだろうか?
しかしロシアも中国も既にやっつけたので、悪の枢軸はあの国くらいしか残っていないような。