こんな人にお勧め
- アクション・戦争モノが好き。
- ミリタリー好き。
- スケールの大きなドラマもたまにはいい。
- 海が好き。
ざっくりと
艦長。トム・W・チャンドラー中佐。
副艦長。マイク・L・スラッタリー中佐。熱血漢担当。
レイチェル・スコット博士(右)
テックス(左)。元民間警備会社の傭兵。銃撃戦のエキスパート。
ロシア海軍のルスコフ提督
わが祖国はもはや存在していない
この艦は希望だ
治療薬の研究に最も安全な場所は
米国海軍の216名に守られた30億ドルのこの艦だ
任務は単純だ
治療薬が見つかるまで生き続けること
グアンタモナ湾の補給所が
当面の目的地だ
あらすじ・レビュー
ポスター画像(本記事トップ画像)が白い制服を着た士官と女性なので、『愛と青春の旅立ち』のような平和な恋愛ドラマかと思いきや、実は核ミサイルの飛び交うヘビーな終末ドラマである。
まず、第1話で謎の病原ウイルスにより人類がほぼ絶滅、世界中の国家が壊滅という状態からスタートする。
アメリカ海軍最後の艦となったイージス艦ネイサン・ジェームズと、それに乗船しているウイルス学者・レイチェル博士が人類の希望だ。
レイチェル博士はイージス艦の中にこしらえた仮設の研究ラボでワクチンを研究、ネイサン・ジェームズ一行はワクチンが完成するまで生き延びる事が任務となる。
しかし当然、ただ海の上に浮かんでいるだけではドラマは進展しない。
時には、物資の補給やワクチン開発に必要なアイテムを入手するために、無政府状態でウイルスの蔓延している陸地に危険を承知で上陸しなければいけない。そして行く先々で、ワクチン開発を横取りしようとする勢力、抹殺しようとする勢力と武力衝突することになる。
人類絶滅の危機なのだからみんな仲良く協力しあえばいいのに、という理屈はこの世界では通用しない。
それぞれの勢力が明確な理由を持ってネイサン・ジェームズ一行を妨害あるいは抹殺しようとしてくるのだ。
シーズン1ではレイチェル博士とワクチンの開発成果を奪おうとするロシアの原子力巡洋艦がネイサン・ジェームズをしつこく追跡してくる展開となる。
このロシア人たちが絵に描いたようなステレオタイプのロシア人で笑える。艦長はプーチンのイメージそのままの冷酷なボス、その部下逹は昼間からウオッカで酔い潰れていそうな面々だ。老朽艦だが核ミサイルを躊躇なく使う彼らとの、知恵比べの追跡劇が展開されることとなる。
シーズン2ではイギリスの原子力潜水艦が相手となる。イギリス艦と言っても乗っているのはパンデミックを生き延びた多国籍の軍人、ならず者逹だ。しかも彼らは生き延びたアメリカ人を洗脳して陸上に広範囲な支援組織を築いている。陸では味方のはずのアメリカ市民に追われ、海では最新鋭の原子力潜水艦と一進一退の攻防戦を繰り広げることとなる。
情報操作が重要なキーとなるエピソードあるのだが、偽ニュースに人々がいとも簡単に騙される様を2015年の時点で予見していたのなら、先見の明があったと言わざるをえない。
本作はアメリカ海軍が全面的に協力しているので、イージス艦の活躍シーンは本物の迫力がある。艦内の様子も非常にリアルだ。おそらくCIC(戦闘指揮所)以外は本物ではないだろうか。
アメリカ軍が全面協力した映画・ドラマは多々あるが、その副作用として、決して軍を悪くは描かずに美化する内容になることが挙げられる。(軍を悪く描く映画に撮影協力するはずが無いので当然である。)
本作も軍人はみな真面目で愛国心みなぎり、裏切り者やスパイはアメリカ軍人の中からは決して出てこないし、特に大きな問題は起こさない。たまに新人がミスしたり、社内恋愛が発覚したり、帰郷や家族を巡って葛藤する程度だ。
しかしそんな真面目な人物ばかりだと面白味が無いので、おちゃらけて下世話な役を途中から仲間に加わる元民間警備会社の人物が担当するなどしてバランスを保っている。
艦長のトム・チャンドラー中佐は絵に描いたようなリーダー、理想の上司だ。
アメリカ政府と軍組織が壊滅していても尚、国に忠誠を誓い続ける。日本だと横井庄一さんもそうだったし、優秀な軍人とはそういうものなのだろうか。
両シーズンを通じて、シンプルな世界観が背景にあることに気がつく。
「外国人はみんな悪者、アメリカ軍人はみんないい奴」と。
イスラム過激派は世界が破滅した後でも米軍を襲ってくるし、同盟国であるはずのイギリス人でさえも、イギリス訛りの英語を話すキザな敵として描かれる。
中南米では任務と関係なくても独裁者を見かけると放っておけず独善的な正義感で武力介入する。
唯一、味方になる外国人がイスラエル人であるのは笑うところかもしれない。
本作はアメリカで2014年のケーブル局新作ドラマ視聴率No.1を獲得しているそうだが、上記のような世界観がアメリカ人に広く受け入れられたのだと考えると興味深い。
制作総指揮のマイケル・ベイという人は、『アルマゲドン』などを観た人ならわかると思うが、面白ければ細かい考証なんて気にするな、という人だ。
本作はさすがにアルマゲドンほど荒唐無稽ではなく、基本的にはリアル路線のドラマではあるが、生物学や地理、軍事技術に多少なりとも知識のある人にとっては突っ込みどころが多いことだろう。ここでは敢えて書かないので、どうか各自で探しながら楽しんで欲しい。
データ
製作総指揮
マイケル・ベイ / ジャック・ベンダー / アンドリュー・フォーム / ブラッドリー・フラー
ハンク・スタインバーグ / スティーヴン・ケイン / ジョナサン・モストウ
製作者
ハンク・スタインバーグ
スティーヴン・ケイン
原作
ウィリアム・ブリンクリー 『The Last Ship』
出演者
エリック・デイン / ローナ・ミトラ / アダム・ボールドウィン / チャールズ・パーネル
トラヴィス・ヴァン・ウィンクル / サム・スプルエル / マリッサ・ネイトリング
クリスティーヌ・エルモア / ジョン・パイパー=ファーガソン / ジョッコ・シムズ